30代の前半に5年程採用担当として携わりました。その過程で色々思うところが有りますので、批判等もあると思いますが綺麗事は置いて、持論を展開していきたいと思います。
1.有名企業への就職は、是か非か?
これは個人の嗜好、思考、指向の問題と思いますが、やはり大企業は非常に恵まれていると思います。1日の労働時間、有休の取得、給与の高さなどは、多くの例外的な中小企業を除いては足下にも及びません。入れるのなら入りたいと思うのは理解出来ますし、現に学生の頃の私もそう考えていました。しかし、大企業で有名になればなるほど【優秀な人がたくさん居ます】あなたが、その人達と互角に戦えるのであれば、きっとあなたは、採用試験も突破し受け入れられると思います。そういった方は、入社後も自己研鑽を積む前向きな人が多いと思いますので、問題ありません。ただ安定したいとか、勝ち組企業に入社し自慢したいという邪な考えだけであれば、多分受け入れられないでしょう。万一入社しても、入ったことを後悔するようなことになるかもしれません。今まで、社会人としていろいろな会社を見てきましたが、理不尽なことは世の中に沢山有りますし、それを受け入れなければサラリーマン生活を続けるのは難しいと思います。結局のところ、あなたが、どうなりたいか、どうしていきたいか。それを考えないと、何処に言っても困難が待ち受けていると思ってください。自分は、何に対して情熱をもてるのか。ヤリガイを感じられるのか?それを今一度考えることが必要だと思います。
2.労働集約型産業について
介護、小売り、飲食、レジャーなどの【労働集約型】産業は、大企業でもブラックな会社が多いことは、周知の事実だと思います。人事畑が長い私は、自分の子供が、そういった産業に就職すると言ったら、間違いなく【反対】します。
労働集約型の産業は、非正規雇用を言葉巧みに搾取し(もちろん、社会的弱者の雇用の受け皿になっていることは事実ですが)、また、正規雇用の入れ替わりの激しさからも分るように、長く勤めるのはなかなか難しいことが現状です。なぜ非正規を多く雇用するのか?と考えると、①非正規でも出来る、単純な仕事であるということ。②人件費が安くてすむということ が大きな理由であると考えられます。労働集約という名前からも分るように、労働者が多く居ないと成り立たない産業です。そしてサービスを受ける側は、安さを求め、サービスを提供する側はその参入障壁の低さから過当競争となり、安さに応えようと努力します。その結果、人件費は大きな【コスト】でしかなくなります。外食や小売りの一人あたりの売上高、利益率を調べた事がありますか? 上場企業の決算は公開されているので是非見て、自分で調べてください。一人あたりの売上が3,000万円の企業と1億を優に超える企業とでは、どちらが労務費に割り当てる余裕があるかは、容易に推測することが出来ます。
また、視点を変えて考えてみましょう。飲食・小売は新卒でなくても何時でも門戸を開いています。下手をすると飲食は40代でも正社員で募集があります。わざわざ、その道を新卒で選ぶ必要があるのでしょうか?
ただ、ある側面からは、オススメ出来る点があります。中高年のサラリーマンが、脱サラして自分の店を持ちたい、独立したいと言った類の話は、聞いたことはあるかと思います。組織の中で働くと言うことはストレスが多くあり、世間で通用するようなスキルを持っていないと、最終的な逃げ道の候補ではあると思います。しかし、若くして、自分は雇われず自分で独立したいと考えている学生の方もいるかと思います。ある程度の期間を修行と考え独立するために商売を学ぶということであれば、それは躊躇する必要はありません。自分の道をすすみ、早く夢を実現してください。
余談ですが、例外的な企業もあります。その戦略はブランディングであったり、ブルーオーシャンであったりするのではないかと思います。
例えば、非正規雇用が憧れる企業になること 例:スターバックス、オリエンタルランド や 売るものの価値を値段とする考えから脱却すること 例:ネッツトヨタ南国、物語コーポレーションの例は、すごく参考になるかと思います。カーディーラーでも値引をするのではなく、人と人のつながりで売り、人を育てることにコストをかけられる会社。安さとは違う価値観で売る会社です。物語コーポレーションも人件費をコストでなく、選考投資費用と考える会社で、人材の育成に力を入れている会社です。